ボトックスを打とうか迷っている人、そろそろ打ち直そうかと考えている人に向けた記事です。答えから書きます。美容用の説明書(添付文書)には「効果は通常 3〜4 か月で消失」と書かれています。2026 年 9 月に、編集部が PMDA で最新の版(2026 年 8 月改訂)を開きました。
ただし、この数字は国が認めた眉間・目尻・エラの話です。臨床試験の数字も部位ごとに違います。カウンセリングでは、自分が打つ場所の数字を聞いてください。
いちばん聞かれているのは「効果・持ち」だった
当サイトは、美容医療の投稿を施術ごとに分けて数えています。エラへの注射を除くボトックスの話は 673 件、質問は 371 件です。中身で分けると「効果・持ち」が 65 件でいちばん多く、費用や痛みより多く聞かれていました。
エラは別枠です。その質問 61 件はここに入っていません。内訳はボトックスのデータページに、数え方はこのサイトのデータにあります。
美容用の説明書は「通常 3〜4 か月」
しわやエラに使うのは「ボトックスビスタ注用」です。製造販売はアッヴィ合同会社。説明書の「重要な基本的注意」に、患者に文書で説明する事項として、こう書かれています。
本剤の投与は対症療法であり、効果は通常3~4ヵ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。
臨床成績の欄には、部位ごとの数字もあります。測っているのは、打ったあと皺が「中等度以上」に戻るまでの期間です。
| 打つ場所(試験) | 皺が戻るまでの期間 |
|---|---|
| 眉間(国内長期投与試験) | 10 単位で平均 13.3 週、20 単位で平均 15.6 週 |
| 目尻(国内第Ⅲ相試験) | 12 単位で中央値 85.0 日、24 単位で中央値 95.0 日 |
| エラ(咬筋膨隆) | 持続の数字は載っていない |
眉間も目尻も、ならすと 3 か月前後です。単位が多いほど少し長い。
用法の欄には、もう 1 つ別の数字があります。「3ヵ月以内の再投与は避けること」。これは打ち直してよい最短の間隔で、もつ期間とは別の話です。「半年もちます」と言われたら、どの部位の、どの資料の数字かを聞いてください。
治療で使うときは、病名ごとに月数がある
治療で使う方は「ボトックス注用 50 単位/100 単位」。製造販売はグラクソ・スミスクライン株式会社です。PMDA の患者向医薬品ガイド(2026 年 6 月更新)に、効果が消えるまでの目安が病名ごとに載っています。
| 病名 | 効果が消えるまでの目安 |
|---|---|
| 眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、斜視、痙攣性発声障害 | 通常 3〜4 か月 |
| 重度の原発性腋窩多汗症 | 通常 4〜9 か月 |
| 過活動膀胱 | 通常 4〜8 か月 |
| 神経因性膀胱 | 通常 8〜11 か月 |
病名で数字が違います。同じ成分でも、打つ場所と目的で 3 か月から 11 か月まで幅があり、「ボトックスは何か月」と 1 つの数字では言えません。
長く繰り返すと効かなくなることがある
ボトックスビスタの説明書は、打つ前に文書で説明する事項に、この一文を入れています。
本剤の投与を長期間繰り返した場合、中和抗体の産生により、効果が認められなくなることがある。
続く項目には「抗体が産生されることにより、耐性が生じる可能性がある」とあります。手順も書かれています。効きが弱くなったら抗体検査をして、抗体ができていれば投与をやめる。何年も続けるつもりなら、効きが落ちたときにどうするかも聞いておけます。
肩は「絶対使用しない」側に入っている
当サイトの辞書は「肩ボト」という言い方も拾っています。ところが、ボトックスビスタの説明書は一番上の【警告】がこうです。
用法及び用量を厳守し、眉間の表情皺、目尻の表情皺及び咬筋膨隆以外には使用しないこと。
「重要な基本的注意」でも、それ以外の適応には「安全性が確立していないので絶対使用しないこと」。念押しは 2 回です。治療用のボトックス注の病名にも、肩はありません。
承認と違う目的で薬を使う治療をウェブサイトで広告するなら、クリニックは「医薬品副作用被害救済制度の対象にはならないこと」を含む 5 つの項目を載せる必要がある、と厚生労働省の事例解説書は書いています。肩に打つ相談をするなら、使う製剤の名前、それが国内で承認されたものか、承認の範囲の使い方かを聞いてください。この記事の月数は、範囲の外にはそのまま当てはまりません。
本サイトは医療機関ではなく、施術を勧めるものでもありません。適応や安全性の判断は医師にご相談ください。
