美容医療の下調べ

ヒアルロン酸は何か月もつ? 説明書にある「6 カ月」と「24 カ月」

公開 ・ 最終更新 ・ ワグミコンサルティング 代表

ヒアルロン酸注入について考えている場面

ヒアルロン酸を入れようか迷っている人に向けた記事です。この施術の質問は 463 件。そのうち 51 件が「効果・持ち」に入る質問でした。2026 年 9 月に、編集部が国の承認を受けた製品の説明書(添付文書)を開いています。

結論を先に書きます。説明書は月数を約束していません。ただし臨床成績の欄には、ほうれい線で「6 カ月を超える」、頬で「24 カ月時点で 67.1%」という数字があります。部位と製品で違うので、自分の施術で聞いてください。

説明書にある「6 カ月」と「24 カ月」

「レスチレン リド」(製造販売はガルデルマ株式会社)の臨床成績に載っているのは、ほうれい線の比較試験です。使ったのは類似品の「レスチレン パーレン」と、リドカインを含まないことを除いて同じ成分の「レスチレン」。150 人の左右に 1 つずつ入れ、しわの評価で 1 段階以上の改善が続いた人の割合を見ています。

時点レスチレンレスチレン パーレン
6 週後95.9%94.6%
12 週後93.3%91.9%
24 週後72.7%70.0%

半年でも約 7 割。説明書はこの結果から「両処置の耐用性は6カ月を超えるものと考えられる」と書いています。

頬のボリュームに使う「ジュビダームビスタ ボリューマ XC」(アッヴィ合同会社)は、米国の試験を 24 カ月まで載せています。1 点以上の改善が続いていた人は 12 カ月で 85.2%、24 カ月で 67.1% でした。

それでも月数を約束しない一文がある

レスチレン リドの説明書には、この一文もあります。

整容の程度及び持続期間は、処置する皺の性質や、注入部位の組織応力、組織への注入深度及び注入技術によって異なる

ボリューマ XC も「修正の度合や持続期間は、患部の特徴、注入部位の組織応力、注入深度及び注入手技による」と書いています。試験の数字は、その部位・その製品・その打ち方での結果です。約束ではありません。

5 つの学会が一緒に作った指針は、ヒアルロン酸などを「数か月~1年程度で分解吸収される」ものとしています。これは体に吸収されるまでの目安で、見た目の効果がいつまで続くかとは別の話です。「何か月もつか」を聞くときは、使う製品の名前と、その数字がどの資料から来たかをセットで聞いてください。

涙袋は、認められた使い道に入っていない

レスチレン リドの【使用目的又は効果】には、こう書いてあります。

本品は、真皮中間層から深層に注入し、中等度から重度の顔面の皺(ほうれい線等)の矯正及び整容を目的とする。なお、口唇、眼瞼への使用及び隆鼻術等の形状の変更を目的とした使用は本品の適応に含まれない

涙袋は下眼瞼です。確かめた製品では、そこへ入れることは認められた範囲の外にあります。ボリューマ XC の使用目的は中顔面、下顎部、こめかみで、こちらにもまぶたは入っていません。上の試験の数字も、涙袋にはそのまま当てはまりません。

「溶かせるから大丈夫」は、製品によって崩れる

指針(2022 年)は、溶かすための酵素についてこう書いています。

ヒアルロニダーゼ製剤(本邦未承認)を注射することにより、注入されたヒアルロン酸製剤を積極的に分解除去することができるが、その分解程度は製剤によって異なり、分解されにくいものもある

説明書の【警告】には、血管の中に入ってしまうと壊死、潰瘍又は瘢痕を生じるおそれがあり、まれに視力障害/失明や脳梗塞を起こすおそれがある、と書かれています。指針はその起こる割合について「発生率や有病率等は明らかでない」としました。

順番が大事です。もちの月数を聞く前に、使う製品の名前と、それが承認品かどうかを確認するところから始めてください。内訳はヒアルロン酸注入のデータページ、数え方はこのサイトのデータにあります。

本サイトは医療機関ではなく、施術を勧めるものでもありません。適応や安全性の判断は医師にご相談ください。

よくある質問

ヒアルロン酸は何か月もちますか
製品と部位で違います。レスチレン リドの添付文書に載るほうれい線の試験では、リドカインを含まないことを除いて同じ成分のレスチレンで 24 週後も 72.7% が改善を保ち、「耐用性は6カ月を超える」とされています。頬に使うジュビダームビスタ ボリューマ XC の試験では、24 カ月時点で 67.1% でした。どちらの説明書も、持続期間は注入の深さや技術で変わると書いています。
涙袋に入れるのは承認されていますか
確認した製品では含まれていません。レスチレン リドの添付文書は「口唇、眼瞼への使用及び隆鼻術等の形状の変更を目的とした使用は本品の適応に含まれない」と明記しています。涙袋は下眼瞼にあたります。
合わなければ溶かせばよいのでは
溶かすのに使うヒアルロニダーゼ製剤は、5 学会の指針(2022 年)の時点で「本邦未承認」と書かれています。指針は「その分解程度は製剤によって異なり、分解されにくいものもある」とも述べているので、溶かせるかを尋ねるときは、使う製剤の名前もあわせて聞いてください。
重い合併症はありますか
添付文書の【警告】に「本品を血管内に注入しないこと」とあり、血管内に入った場合に壊死、潰瘍又は瘢痕、まれに視力障害/失明や脳梗塞を起こすおそれがあると書かれています。指針は発生率について「発生率や有病率等は明らかでない」としています。

出典・確認日